今日は私の仕事の話を致します。私は普段チェコでカメラマンをしています。日本からのお客さまやチェコのクライアントをこの20年でたくさん撮影してきました。個人のお客さまから有名な方や企業まで、さまざまな職種、さまざまな用途の撮影をチェコ国内外で行なっています。国際会議や会社のイベントなどちょっとお堅い撮影もありますが、私の撮影で最近一番多いのはプラハの街中で行うウェディングやメモリアル・ポートレイト。今回、写真を皆様にお目にかける許可をいただきましたので、バーボフカでもご紹介することにしました。今日ご紹介するのは美術大学で知り合ったクリエイティブなカップル。アンティークのアウトフィットをこよなく愛すお二人で、この日も豪華なレースが沢山使われた美しいアンティークの衣装で撮影に臨みました。
古都にアンティークの衣装が最初からしっくり・・・。プラハの建物の柔らかなパステルカラーと、オーガニックのコットンの優しい雰囲気がよく合います。
プラハは年間通して、たくさんの観光客で賑わっています。特に絵になる歴史的なエリアは朝早くから観光を楽しむ人々で人出がいっぱいです。だからいつも朝早くから準備、撮影を始めます。プロのヘア&メイクさんを頼む時などは朝の3時半からヘアとメイク、撮影開始は6時からという時も珍しくありません。
この写真は私も特に気に入っています。マラー・ストラナの聖ミクラーシュ教会をバックに古い型のトラムの赤がアクセント。(自画自賛。)何よりお二人の幸せな可愛らしい笑顔がばっちり撮影できてとっても嬉しい一枚です。
ここ20年でかなりの変貌を遂げたプラハ。実際は街に出ると、歴史的な建築物が解体され、モダンな新しいビルに取って代わるニュースを耳にすることがしばしばあります。例えばカレル橋から旧市街広場に繋がる王の道・カレル通りも、右も左もお土産や食べ歩き用の食べ物のお店ばかり。ツーリストのためだけのようなギラギラした雰囲気で、古都プラハに寄り添うものではありません。撮影ロケーションはプラハで20年暮らす私の知っている限り、プラハらしいとっておきの場所で、撮影するようにしています。このペトシーンの丘は私はよく使う撮影スポット。高台のため、オレンジ屋根が被写体を足元から包むように広がっていて、プラハ全体が二人だけのバックペーパーのように撮影できるとても贅沢な場所です。そのほか休憩がてら、私のお気に入りの喫茶店の店内などでも、撮影をいたしました。
プラハでの記念撮影のご依頼は年間通していつでもお受けしています。20年で100人以上の方をほとんど外で撮影してきましたが、お天気に恵まれなかったことのない晴れ女なのは私の最大の取り柄でございます!
今回快く写真の使用を承諾してくださったお二人に心より感謝いたします。
私のコマーシャル写真のウェブはこちら:https://yoshimiyokoyama.tumblr.com/
私の写真専用インスタグラムは:@prague_photo_shooting
5/24-6/1日までプラハ5区で開催されていたサーカスとシアターフェスティバルに行ってきました。週末は木で作られた昔ながらの子供のための遊具も展示されタダで遊べるということで、これを見逃すわけにはいきません。
見えてきました、子供の遊具。遠目でも見るからに楽しそうテンションが上がります。こちらのフェスティバルはチェコのシアター作家のレジェンド、フォルマン兄弟が監督指揮を取るフェスティバル。フォルマン兄弟はオリジナルのシナリオから舞台制作、人形製作までシアター全般を作り上げるプロ集団。
で、こちらの子供のための遊具を手がけるのはスラードゥコヴナと呼ばれるアート集団。からくり遊具や人形製作をホンザとバーラのペア二人で制作しています。
気になる方はこちら。↓
https://www.sladkovna.cz/cz/projekty/atrakce
ワクワクする工夫が満載で、しかも完全手作り。メカニカルな部分以外は全て木製、また想像力を掻き立てるハンドペイントも秀逸です!ここでも黄金の手の国チェコの素晴らしさを感じてしまう・・・。
街中を盤をハンドルで回転させてゴールまで辿り着く迷路。
パチンコでビールや酒瓶を倒す遊具。胸のハートに命中するとスカートが糸で捲れて、あら恥ずかしい!))
こちらはハンドルを回すと波が発生し、木のボールが下から上に移動する遊具。イラストも仕組みもとっても楽しい遊具でした。
バーボフカ息子も一日中楽しく遊びました。よく見ると大人たちもパチンコで遊んでます。笑(とかいう私も息子と一緒にキャーキャーと遊んでしまいました。)
こちらのお船のおもちゃは縦と横両方をハンドルで操作してゴールに向かう遊具。(ちなみに息子は江東区砂町銀座でゲットした区立第四砂町小学校の体操服を着ています。)
こんなに素晴らしいイベントなのに、人がかなり少ないのはなぜ??それはチェコの国技との言われるホッケーのファイナルが行われる日だからだそう。
しばらく遊んでいたら、フランスのモーターバイク集団が決死の壁と呼ばれる出し物が始まりました。垂直筒状の木の壁をなんとモーターバイクで駆ける、爆音とスリルドキドキの出し物。ヨーロッパでは(チェコでも)1950年代ごろからよく見られた出し物だそうですが、フランスではもう彼らが最後のグループになってしまったそうです。年季の入ったおじさんがいて、密かに軽く萌える元バイク乗り・バーボフカ店主の私。というか、みんなかっこいいー!!
内部の様子も見えるビデオはこちら↓
https://youtu.be/KfFPBrzS–o?si=FUPjFRl8Y6G0e7OY
夕方にはこちらのイタリア人を中心としたキャバレー的サーカスのショーを楽しんで、結局一日中目一杯楽しんだ日曜日でした。
大満足のバーボフカ息子とバーボフカ主人。
サーカス団のトラックにサッカー中継を映し出し、大人はやはりホッケーファイナルも!スイスとの接戦でしたがチェコが勝利、優勝ということでこの日は遅くまで街のあちこちで優勝を祝う祝杯が挙げられていたとか・・・
先週の日曜日はプラハ・フィルハーモニアの子供のためのコンサートに行ってきました。値段もお手頃ですが、プラハ・フィルハーモニアのメインメンバーが演奏してくれ、子供たちには良い情操教育になります。また小さい子もたくさん来ていますが、子供のためのコンサートですので声を出したり、席を立ったりしても、ある程度のことは大目に見ていただけます。
普段のプラハ・フィルハーモニアの普段のコンサートでは他のお客様の迷惑になることでも、子供たちもリラックスして気軽に演奏を楽しめるので素敵な企画だと思います。またテーマを変えて定期的に行われています。
どんな演奏が聴けるのか、いつもいるのと全く違う優雅な空間にドキドキです。
バーボフカ息子「天井の飾り綺麗だねー。」とうっとりしていました。(一人でこっそりいろいろなコンサートに通う、バーボフカ母も毎度密かに感動します。)
演奏はアントニーン・ドボルザークの『金の紡ぎ車』やメンデルスゾーン『結婚行進曲』、セルゲイ・プロコフィエフの『古典交響曲』ニ長調 作品25など数々の名作の中からの抜粋で全12曲!子供が飽きないように役者さんが出てきて、演奏に合わせて演技をしたり、工夫もされていて盛りだくさんの内容でした。
チェコで日曜日はお菓子屋さんに行って、ケーキとカフェみたいな習慣がありますが、我が家もチェコの「正しい」習慣に従って(笑)コンサートの後はアイスクリームを食べました。(ベンチにちゃんと座って食べました。)バーボフカ息子、お気づきかと思いますが、只今どんどん成長中でございます。お陰様でございます。
日本から帰国して10日経ちました。
今回の帰国は母とのお別れがありました。癌がわかって4ヶ月もしないで旅立ってしまいましたので、まだ正直実感が湧きません。
いつも遠く離れた異国に暮れしているから、地球の裏側に母がいるという感覚がこれからも続くような気がします。
バーボフカの記事をいつも最初に読んで感想(お褒めの言葉)を送ってくれた母でしたが、またどこかで記事や写真を見てくれると信じて小さな日常を綴っていこうと思います。
先日私の大好きなモラヴィアに住む友人が、イースターの羊のお菓子を届けてくれました。
イースターの羊のケーキはチェコでは定番ですが(他の国ではどうなんだろう・・・?)
こちらの羊さんは砂糖とメレンゲのホイップで表現されたふわふわの白い羊毛がとってもキュート!
この羊を制作されるおばあさま、もうモラヴィアでも最後のお一人だそうとか・・・。(残念ですね。)とても貴重な羊さんです。
おっとりとした佇まい、制作される方のお人柄が伝わってくる優しい雰囲気の羊さんです。
食べるのがとっても勿体無い気分になりますね。いつかモラヴィアのコチラのお婆さまを取材できたらなとまた夢のようなプロジェクトが頭に浮かびました。
我が家の窓からは梨の花が咲き誇り、背景には突き抜けるような青い空。おひさまの輝く素晴らしいお天気です。プラハのあちこちに桜やりんごの花が開花し始めています。
またとても美しい季節が来ます。生きていることの有り難さや喜びを花々が思い出させてくれるような、少し甘酸っぱい気持ちも感じる今日この頃。
日本の春もまた日本を照らして、幸せな時間がたくさんありますように。
5月27日28日(2023年)に開催された王様騎行という民族衣装のお祭りを見に、南モラヴィアのヴルチュノフという街に行ってきました。プラハからはウヘルスケー・ブロドという街まで列車で約4時間、そこからバスで向かいます。5月は菜の花の季節、車窓からは一面黄色の菜の花畑が広がります。
(写真は2眼レフの古いフィルムカメラで撮影しましたので、デジカメを持参する余裕なく、ブログの写真はiPhoneで撮影です。悪しからず・・・。)
初日はダンスや歌のステージで盛り上がります。ちなみにチェコ語ではJízda králů(イーズダ・クラールー)というこのお祭り、王様たちの行進という意味で日本語には近年、王様騎行と訳されているようです。民族衣装を着た若者たちが、騎馬と徒歩で街を練り歩くというのがその祭典の主な内容です。モラヴィアの街ではその他フルクやコノヴィツェで行われていますが、ヴルチュノフの物が一番ポピュラーでその歴史も200年以上のものになります。また毎年行われるのはヴルチュノフの街だけです。1808年から途切れることなく毎年開催される由緒正しいお祭りで、ユネスコの無形文化遺産にも指定されています。かつて、タタール人の襲撃から逃れるために王子と悟られない為に、王子に女装させ護衛して馬でチェコまで逃亡するという伝説のようなものが元になっていると言われていますが、それも諸説あり定かではありません。いずれにせよ、このお祭りの主役は顔があまり表に出ぬよう、リボンや飾りでいっぱいにして女装した馬に乗る王子であることは間違いありません。
お話を一旦ステージに戻します。
女の子はとても大きなスカートを着ているので、飛んだり跳ねたりせず、もっぱらくるくる回る動きが多いのに対し、ステージの男の子たちの踊りのかっこいいこと!
素早い足さばきとリズム感、軽快さにまた観客の歓声も相まってこちらの体まで温まってくる気がします。
こちらの男の子も「素晴らしい衣装ね。」と声をかけると得意げな表情をして写真を撮らせてくれました。
こちらは古い衣装についていたガラスボタンを新しく新調したベストにそのまま付け替えたんだそうです。このふわふわしたフリンジのようなものも、モラヴィアの民族衣装には欠かせないアイテムですが、昔々はラクダの毛を染めたものを使っていたとか。(今では皆さん普通の毛糸を使っています。)
草に腰をかけて休む男の子も背後から、美しい刺繍をパチリ。ハートのモチーフが前後の見頃に刺繍されていて本当におしゃれだわ〜と見入ってしまいます。
街を歩いていると、この祭典王様騎行のポスターを発見。優雅で軽やかな線描、見たことのある描画・・・。そうです、これは当店バーボフカでも販売のある画家、カレル・ベネシュのイラストです!1986年の作品だそうです。ちなみにカレル・ベネシュはまさにここ、ヴルチュノフ出身の作家でこの王様騎行を描いた作品も数多く残しています。(ちなみに王様騎行をテーマにした絵画は欲しいけどとても高額で手が出ません・・・。)
日が改まって28日。この日は王様のパレードで民族衣装の若者たちが街を練り歩く日です。私も早速フィルムカメラを携えて、厳かな気分で朝8時からの教会の特別なミサに参加させていただきました。この王様騎行のお祭りは、18歳になる青年たちを祝う成人式という意味もあります。ですので、この年に18歳なる男女は衣装に身を包んで教会の中央に列を成して神父様の祝福の言葉をいただきます。神父様が「いつもは皆さんはなんとなく味気ない服装で過ごしていることも多いでしょうが、本日あなたたちが身に纏う、色とりどりの麗しいその色は神様に捧げるものです。」とおっしゃっていた言葉がとても印象的でした。改めて若者、おめでとう!と心の中で言葉を唱えました。
ミサが終わると教会の前の階段でひな壇記念撮影。
そして通りの向こうから吹奏楽団が向かってくるのも見えます。「おー、いよいよだぁ!」と私も他の人たちもワクワクと心が高鳴ってくるひと時。
そして、ついに今年の王子のお出ましです!口には例年通りもちろん薔薇の花を口に咥えています。例のタタール人に声を聞かれて男の子ってバレたら大変!というわけです。(諸説あります。)とにかく王子はただ馬に乗せられて連れていかれるだけ。それでもさすがは主役、リボンの合間からちらりと見えるお顔、女性でも男性でもなかなか見目麗しいお顔です。
その一方で王様の護衛の若者たちはなんとも賑やかに観衆に指差しで、大声で声をかけながら通りを練り歩きます。「そこの金髪の女性、いいですねー。はい、王様に寄付を!」というような掛け声で、鞍や鎧に付いている木箱に寄付を募ります。私も「はい、そこの日本人!いたねー!来たねー!」と大声でいじられ、周りの人にくすくす笑われる一幕も。
寄付はもう一人の日本人、バーボフカ息子に託し、私はもっぱら写真撮影。何度見てもこのお祭り本当にうっとりするほど美しく、衣装も踊りも歌もそしてお酒も!全て揃った夢のような祭典です。
特に私の目を引くのは古い民族衣装を着ている人たち。この女の子はおばあさんから譲り受けたツーピースの民族衣装で私の目には一際目立って輝いていました。刺繍も今の機械でプログラミングされて施された物に比べ、人の手でちくちくとひと針ひと針刺されたものは全然趣が違います。リボンひとつとっても近年、綿素材からポリエステル素材に変わり質感が趣を変えました。手作業にうるさいバーボフカ店長、文句を言ってはキリがありませんが、ここでも手作業の圧倒的な存在感の違いを感じざるを得ません。
このお嬢さんもかなり古いリボンのついたエプロンをしていました。頭の飾りのコカルダという丸いワッペンも、長く受け継がれてきた経年のなんとも言えない美しさを感じます。これから夏の終わりまでチェコ共和国特にモラヴィア地方では民族衣装の祭典が数々行われます。プラハとモラヴィア、もう少し近かったらいいのにーといつも思いますが、遠いからこそこの夢のような世界を見られた時の感動が増すのかもしれません。何度でも、また訪れたい素敵な祭典です。